背脂VIP

目次

1.二郎系ラーメンをつくる男

2.背脂VIP

3.背脂VIPと空港ラウンジ

4.背脂VIP体験 ~ベルクの場合~

1.二郎系ラーメンをつくる男

週末、隣でぐっすり眠る妻と息子を尻目に、一人いそいそと寝床を抜け出してせっせと豚骨スープを炊く男

朝から家中に豚骨の匂いをまき散らし、鍋やシンクを脂まみれにして妻から嫌な顔をされても、めげることなく炊く男

何度つくったところで一度も「おいしいね」と言ってもらえなくても、めげることなく炊く男

「体調が悪くなるから次回からはつくってくれても食べないことにします」と宣言されても、めげることなく炊く男、もしくは力強く製麺機のハンドルを回す男

それが私である

2.背脂VIP

二郎系ラーメンには背脂が必要だ

スープの出汁になるげんこつや豚ガラは冷凍したものが売っているが、背脂はお店の人に言わない限りまず店頭には並ばない

先日冷凍していたストックの背脂がなくなってしまったので、近所のスーパーに電話して問い合わせてみるとラッキーなことにちょうど背脂を用意することができるとのこと

しかもお代はいりません、無料で結構ですとのこと

ベルク神!神神!!

ありがとうベルク、くらしにベルク

背脂でもお金を取る店は500円くらいは取るし、ネット通販では1Kg1,000円くらいで売られている

人がお金を出して買うようなものを自分だけ無料でもらえる、なぜこんなにもうれしいのだろうか

圧倒的VIP感

3.背脂VIPと空港ラウンジ

以前空港の「ラウンジ」なるものを利用したことがあるが、ベルクの精肉コーナーで背脂を無料でもらうことはラウンジを利用したときの気持ちに非常に酷似している

ラウンジとは年間に何十回も飛行機に乗ることで、湯水のようにじゃぶじゃぶとお金を航空会社に落としまくった人だけが利用する権利を与えられる飛行機搭乗前のスーパーリラックス空間である

一般の搭乗待合スペースでは人は混雑してまともに椅子に座れないなんてこともしばしばだが、ラウンジスペースはもちろんそんなことはない

飛行機の離着陸がよく見える開けた展望スペースでゆったりと生ビール(無料)を飲みながらほろ酔い気分で思い思いの時間を過ごすことができる

つまりVIPというわけだ

4.背脂VIP体験 ~ベルクの場合~

ベルクにおける背脂の受け渡しにも非常にVIP感が漂っている

まずお店に伺い精肉コーナーにいる店員さんに声をかける

「電話で背脂の取り置きをお願いしたものですが」

すべて言い終わるか終わらないかのところで察しの良いベテラン女性店員はうなずいて「少々お待ちください」と言い残しそそくさとバックヤードに戻っていく

すると今度は待っていましたとばかりにすぐに男性の店員がパックされた背脂の塊を手に私のもとに歩み寄ってくる

このときポイントなのは背脂を奥からもってくるのは先ほど声をかけた女性店員ではないということ

おそらく男性店員はその風格から精肉コーナーの主任クラスの人間だとと予想される

「すみません、1Kgご所望とのことでしたが800g程度しか用意できませんでした」

「いえいえ、助かります、ありがとうございます。こちらお代は」

「いえ、結構です。お持ちください」

そう言って男性主任風店員は大きな背脂の塊がパックされたトレーを私の買い物カゴにそっと入れる

もちろんこちらも大人である。もらうものだけもらって帰るわけにもいかない

バラ肉やにんにくやもやし、長ネギなどをカゴに加えてからレジへ向かう

だが最近働き始めた風のレジの若い女性店員は、レジ打ちの最後にスキャン用バーコードシールの貼られていない背脂のパックに気づき、手を止め、戸惑う

そしてなにか助言を求めるような眼差しで私の方を見つめてくる

「それはお代は結構ですと言われています」

そこではじめてレジ打ちの女性は私が無料で背脂を受け取ることのできるVIPであることに気づき、そして私の助言により無事に自分の業務を完了できることに安堵の表情を浮かべる

ベルクにおける背脂VIP体験とはこのようなものであり、その結果出来上がったラーメンがこちら

レシピらしきものを掲載するつもりでしたが、夕飯の時間になってしまいました

子供がお腹を空かせて待っていますので、本日はこちらで失礼いたします

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